“速くて綺麗”な代かき機で計画通りの春作業を実現 「しっかり下からかいて、水持ちの良い仕上がりになる」 取材先:三重県伊勢市 有限会社 伊勢アグリ・トラスト

アグリマシーン

  時間はお金と同じ価値がある。その実感は仕事において殊更で、どんな仕事でも、もちろん農業においても同様。コストの低減は利益に繋がり、時間を短縮すれば様々な可能性が生まれる。そこで大きなポイントになるのが作業品質だ。ただ速ければ良いというものではなく、その時間の間に必要充分な仕事が行われなければならない。雑な仕事で二度手間になったのでは本末転倒だ。

  特に農業では適期作業が必要で、それを逃さないスピードと作業品質が求められる。その実現のため、今回お伺いした稲作の生産現場で選択されていたのが、ササキコーポレーションの超耕速シリーズ。代かき機マックスハローエースが“速くて綺麗”な仕事で、期待に応えていた。

地域農業を支える農業法人としてスタート

 三重県中部に位置し、伊勢神宮で知られる伊勢市。農業では、コシヒカリを中心とした稲作が主体となり、それに加えて⻨作や花きなどの施設園芸、露地野菜などが展開されている。そこで主食用米のコシヒカリ40ha、飼料用米40ha、稲WCS30ha、麦50haを経営しているのが有限会社伊勢アグリ・トラストだ。地域の畜産農家と耕畜連携に取り組み、ラジコンヘリによる防除委託(2回防除で延べ面積1700ha)を請け負い、地域農業を支える農業法人として大きな役割を果たしている。労働力は役員と従業員合わせて9名(1名は事務担当)。同社取締役を務める山田信人さん(65歳)に生産現場の取り組みを聞いた。

「私たちは元々JA伊勢の受委託部会としてスタートしました」。その後、周辺農家から農地を預けたいとの要望が多くなり、農地の利用集積を図るため1993年に法人化。その後も経営面積が拡大し、現在の規模となった。「地区によっては田んぼの90%程を預かっている所もあります」。

山田信人さん
㈲伊勢アグリ・トラストの圃場

限られた労働力で如何に収量を上げるか

春作業の効率化が課題で、乾田直播と代かきのスピードアップ

 収穫した米は全量をJAに出荷。「コスト削減を図りながら、限られた労働力で如何に収量を上げるかに主眼をおいています」。その中で強く求められているのが作業効率の向上。特に仕事が集中する春作業の効率化は大きな課題だ。そこで取り組みの一つとして、乾田直播をコシヒカリ20haの規模で実践している。収量の不安定さや圃場の条件はあるものの、春作業の省力化、コスト削減に貢献している。一方、移植作業では代かき作業のスピードアップを図るため、ササキコーポレーションの超耕速シリーズ、代かき機マックスハローエースが導入された。

 導入以前は他メーカの代かき機を使い、「この地域は水持ちの悪い圃場もあり、昔から荒代を1回かいた後に、3回の代かきを行ってきました。これがこの地域の基本で、丁寧にしっかりと代かきを行わなければ水が持ってくれません」。水持ちの良い圃場にするために、代かきに時間を使い、規模が拡大する中で負担が増えていった。そのため「代かきは4月の中旬から5月の末までかかります。また、代かきが終わった3日後から田植えを始めますが、田植えのスピードが速くて追いついてしまい、田植えができる圃場を用意することが間に合わなくなる状態でした。それで、午前2時や3時から代かきをしていた時もありました」。その中、ササキコーポレーションから提案されたのがマックスハローエース。課題解決になればと「使ってみることにしました」。2018年に作業幅3.7mのMAX372DXAが導入された。

マックスハローエースMAX414DXA

スピードアップで時間に余裕ができる 

トラクタの負荷が少なく、燃費改善に

 その結果は期待以上のものに。「砕く力、撹拌する力が凄く良いと実感しました。以前の代かき機は表面をかいているような状態でしたが、今の機械はしっかり下からかいてくれて、水持ちの良い仕上がりになります」。さらに、代かきに掛かる時間が短縮。「従来通り荒代と3回の代かきをしていますが、作業スピードが速く、作業効率は抜群に良くなりました」。同機には“カットと叩きで砕土”するCK爪が採用され、大きな稲株を砕くと同時に砕土性、反転・スキ込み性が向上し、最高速度5.5㎞/hの高速作業を可能としている。「これで私たちの所では、ハローはササキさんということになりました」。2020年には作業幅3.7mのMAX373DXAと作業幅4.1mのMAX414DXAを導入。「田植え機の作業速度も速くなってきていますが、今はマックスハローエースが3台あれば計画通りに春作業を行うことができています。時間の余裕ができるようになりました」。マックスハローエースが、課題だった春作業の効率化に貢献し適期作業を実現している。

 “速くて綺麗”に仕上げるため、同機には様々な工夫があり、その中で山田さんが気に入っているのがフロントウェーブガード。ワラや土が外側に逃げていくのを防止するものだが、圃場の周囲を走ると、「圃場の際が凄く綺麗になります」。また、MAX414DXAにはトリプルワイパーブレードが装備され、2段階の可変式でタイヤやクローラに合わせた最適な位置でタイヤ跡等を消すことができる。さらに、「しっかりすき込む割には負荷が掛からないので、トラクタのエコモードを使うことができ、燃料消費削減に繋がっています」。作業時間の短縮と合わせてコスト削減に貢献する。

フロントウェーブガード
CK爪で砕土性、反転・スキ込み性を高め、高速作業を実現する
ワイパーブレード 高速作業でもタイヤ跡やチェーンケース部の残耕を気にせず作業ができる。

ここが一押し:ワラや土が外側に逃げるのを防ぎ、畔際を綺麗に仕上げる

Point:プロ農家が求める高いレベルの作業を高速で実現する。作業の効率化で適期作業を可能とし、また燃料費の抑制にも繋げていく。さらに耐久性を高め、メンテのコストも削減する。

地域農業を守るために人と機械の体制を考える 

 伊勢アグリ・トラストでは、除草管理に関してもササキコーポレーションのブームモア、オフセットモア、フレールモアを導入。「使いやすく、とにかく草刈りが楽になりました」と、軽労化を実感しているようだ。

 今後も任せたいとする農地は増えていく状況で、「私たちには地域農業を守るという使命があります。そのためにも人と機械の体制を考えていかなければなりません」。ササキコーポレーションの最新型代かき機を新たに購入することも検討されている。地域の農業を持続するために“速くて綺麗”が大きな力になっていた。

▷㈱ササキコーポレーション:〒034-8618 青森県十和田市大字三本木字里ノ沢1番地259

アグリバッファ

アグリバッファ

農業の大きな可能性を感じているあなたに、 アグリソリューションとアグリマシンをお届けする 情報共有ベースです。

関連記事

特集記事

アグリバッファ

アグリバッファ

農業の大きな可能性を感じているあなたに、 アグリソリューションとアグリマシンをお届けする 情報共有ベースです。

ランキング

  1. 1

    施設園芸のニューノーマル モイスカルチャーで気候変動に負けない! 取材先:三重県多気町 ㈱ポモナファーム

  2. 2

    プロ仕様の乾燥調製機が、農繁期の集中的作業に大きな力 取材先:岐阜県羽島市 深耕ファーム 山田和也

  3. 3

    汗かく野菜産地で農業を学ぶ「牛窓甘藍(かんらん)で産地を元気にする」 取材先:岡山県瀬戸内市 JA岡山牛窓キャベツ部会

ピックアップ

  1. 生分解性マルチでトウモロコシを13万本生産し、ブドウなどを組み合わせた周年営農を実現 取材先:岡山県吉備中央町 ㈲吉備高原ファーム

  2. 世界に開け!ジャパンアグリ サツマイモ輸出と6次化商品のショップ展開、観光農園で地域農業をグローバル化 取材先:㈱KOGANE ㈱シルクファーム

  3. 27台のクロノスで遊休農地を集約した大規模果樹経営 取材先:長野県松川町㈱たけむらふぁーむ

先進事例 地域活性化 オススメ
  1. 稲作大規模経営の強い味方!アグリロボ田植機がシニアのパワーをアップする▶福井県大野市㈲ガーデンファーム

  2. 27台のクロノスで遊休農地を集約した大規模果樹経営 取材先:長野県松川町㈱たけむらふぁーむ

  3. 国産飼料で農業を強く 農業持続に飼料用トウモロコシという選択 取材先:北海道安平町  株式会社スキット

  1. 生産現場に飛び込んできた非農家出身を2年間で稼げる農家に 取材先:長野県松本市 松本太郎果樹生産組合 代表 横山竜大

  2. りんごの木を氷で包む「散水氷結法」で遅霜と温暖化に対応 取材先 岩手県二戸市 りんご農家 近藤哲治 二戸農業改良普及センター 小野浩司

  3. 大豆生産アップデート!異常気象に対応しながら栽培方法を変化させ単収アップ、品質向上にチャレンジ 取材先:滋賀県甲良町㈱澤農園

  1. 荒ぶる自然に挑戦し、夏と闘いながらブランドすいかをつくる 取材先:山形県尾花沢市 すいか生産者 大山佳彦

  2. 定年就農者が地域農業に貢献!新型あぜぬり機は「直進性が抜群だよ」 取材先:新潟市西蒲区 伴孝行

  3. ソーラーシェアリングでみかんと電気をつくって果樹経営の持続力に 取材先:和歌山県有田川町 三孝農園

TOP