お米づくりの環境が年々厳しさを増している。燃料代、肥料・農薬代を筆頭に生産コストは高騰し、異常気象は常態化の様相。その中で環境負荷低減に対する取り組みを進め、消費者の品質に対する要望にも応えなければならない。農業から離れる人も増え、耕作地の維持は新たな負担にもなる。そんな状況で、如何に農業を継続して行くかが問われている。
その一つの方法が農業を高度化していくことだ。従来と同じ方法を続けて行けば早晩行き詰まることは明らかで、新しい取り組みへの挑戦が道を開く。そこで農業機械が果たす役割も大きく、岩手の大規模水田地帯で期待に応えているのがサタケのサクセスシリーズ。産地の力になり、農業持続に貢献する。
お米づくりに求められることがどんどんレベルアップしている
ずさんな管理では農地を任せてもらえない
今回お訪ねしたのは岩手県一関市の水田地帯。そこで米22haを生産しているのが小野寺俊行さん(46歳)、光子さん(こうこさん・47歳)のご夫妻。「自宅近くの圃場は北上川の遊水地にあって洪水などから市街地を守る役目を果たしていますが、大規模区画に整備され、良質な米が収穫でき、生産活動が盛んな場所です」。この平場と中山間地でも営農を展開し、ひとめぼれ13ha、銀河のしずく7ha、金色の風2haを手がける。それに加えてライスセンターでの乾燥調製作業の受託が20haに及ぶ。
20歳半ばで実家農業の後継者となり、20年超。農業をするとは夢にも思っていなかった奥様と一緒に米づくりに取り組むが、時代は稲作農家にとって年々厳しくなる。「お米づくりにおいて求められることが、どんどんレベルアップしているように感じます」。生産コスト、異常気象、環境負荷低減と、取り組むべき課題は多い。農地の管理においても、ずさんなことをしていては、農地を任せて貰えなくなると言う。
人に頼らず、機械を使いながら2人でできる農業を
そんな環境で営農を展開するが、収穫物に対しては、消費者の美味しさに対する期待も高まっていて、ブランド米においても選択を得る競争は激しい。
小野寺さんがメンバーになっている“いちのせき米クラブ”は40代を中心に、販路の開拓などを行っているが、農薬の使用量を慣行栽培より減らした「限定純情米」を栽培し、食味値75以上、1等米比率100%を掲げ差別化を図っている。また“銀河のしずく”、“金色の風”などの良食味米を栽培し付加価値向上に努めている。
営農方針は「人に頼らず、機械を使いながら、2人でできる範囲で農業を経営すること」。無理な規模拡大をせずに、農業の持続を図っていく。農繁期の春作業では、光子さんもトラクタに乗り、代掻きも行う。二人三脚の農業が展開される。その中でネックになっていたのが秋作業。「乾燥機などのキャパが足りなくて適期作業ができず、秋作業が延々と続いていました」。刈り取りが遅れ品質低下にも繋がっていた。
時代に対応するため乾燥調製の設備を一新
作業効率が向上し秋の適期作業を実現
そこで課題解決として乾燥調製の設備を一新。2019年、2020年にかけて、乾燥機SAXES SDR6500Xを4台導入し、2022年には籾摺機SAXES SRZ6000X、光選別機SAXES Knight 3.5を加え、時代に対応した稲作を展開するための装備を整えた。
サタケを選んだのは「前の設備もサタケでしたのでトラブルもなく気に入っていました。またメーカーのサポートもしっかりしていて安心できました」。販売店では、アフターフォローが何よりも大切としており、メーカーと協力しながら、迅速な対応が行われている。
この設備を導入することで秋作業の効率は格段に上がり、課題となっていた適期作業も進むようになった。「機能に対しての不満はありませんし、デザイン性も良く、これを選択して良かったと思っています」。
籾摺機と光選別機がWi-Fiで連動し便利
複数の品種を手がけ、乾燥調製の受託作業もあることから、掃除のしやすさには高い評価。籾摺機、光選別機では標準で残留米除去機能が搭載されており、「ストレスが違います。機械が増えると手間もかかるので便利です」。また乾燥機は防音性が向上。「以前は作業場で話ができませんでしたが、今はそんなことはなく、夜も動かしますので、隣近所のご迷惑を考えると、助かる機能です」。
さらに便利になったと感じているのは、籾摺機と光選別機がWi-Fiで通信し連動していること。「それまでは籾摺機から目が離せませんでしたが、新しく導入したものは、詰まりがあると循環になるし、機械に任せておけるようになりました」。省エネに関しては前の乾燥機に比べると「燃料消費がずいぶん減ったと思います。そういう機能はこれからの必須でしょうね」。
Point:先進機能と高耐久でプロの要求に応えるサクセスシリーズ。品質向上、省力化、作業時間の短縮などで、新時代の農業に対応する。
ここが一押し:籾摺り選別がWi-Fi連動で安心して機械に任せられる!
「仕事が早く終わるようになり、ストレスが減りました」
光選別機は「精品ロスが少なくて、歩留まりが良いいですね。以前の機械では選別された物をもう一度選別していましたので、流量を絞らず、1回で選別できるのは嬉しい」。色彩選別だけの受託もあり、「他の施設で色選をかけて検査したのに落等になった物が持ち込まれ、こちらで選別した後、1等で引き取られました」。異常気象が常態化する中、品質が不安定化しており、地域の力にもなっているようだ。
全体の作業スピードが速くなり、「仕事が早く終わるようになりました」と光子さん。以前は俊行さんが、夜中まで作業場に残り乾燥調製の作業をしていることも多かったが、「今は早く家に戻って来られるようになりました。待っている方は心配で、そのストレスも減りました」。時代に合った働き方を実現する。それは農業を続け、あるいは継いでいく力になる。
米価は芳しくないが、受託作業は安定し、引き合いも多い。「こちらの仕事を増やすことで経営を安定化させていきたいと思っています。歳をとってもできそうですし」。今後の展開としては美味しいお米をつくりつつ、「2人でのんびりやりたい」と光子さん。まだ慌ただしい日々は続きそうだが、新しい設備に対する期待は大きい。